
国際恋愛を体験できる映画はないかニャ…?
1000本以上の映画を観てきた筆者が、おすすめの作品を紹介します!

言葉も、育ってきた環境も違うのに、なぜか心が惹かれてしまう――それが国際恋愛の不思議な魅力です。
文化の違いに戸惑ったり、遠く離れた距離に不安を感じたり。日本人同士での恋愛では体験しないような困難に直面することが多い国際恋愛ですが、それを乗り越えていく中で生まれる絆は、なかなか得られるものではないですよね。
今回は、これまで1000本以上の映画を観てきた筆者が、国際恋愛を描いたおすすめの映画を紹介します。今まさに国際恋愛をしているという人も、国際恋愛に興味があるという人も、少しだけ現実から離れて、映画のなかの物語に飛び込んでみましょう!
各作品の見どころと合わせてチェックしてくださいね!

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995)
物語は、ヨーロッパを旅しているアメリカ人の青年ジェシー(イーサン・ホーク)と、パリに帰る途中のフランス人女性セリーヌ(ジュリー・デルピー)が、ウィーン行きの列車の中で偶然出会うところから始まります。ふたりは意気投合し、ジェシーが翌朝の飛行機に乗るまでの一晩をウィーンの街で一緒に過ごすことになります。
彼らは街を歩きながら、人生や愛・夢・死といったテーマについて語り合い、だんだんと惹かれ合っていきます。限られた時間の中でお互いへの気持ちが高まるにつれて、刻一刻と別れの時は近づき…
国も生まれも違う男女が、たった一晩の出会いを通じて深く繋がっていく会話劇となっているこの作品。ウィーンの街並みにうっとりするのはもちろんですが、主役を演じるイーサン・ホークがとにかく美しい…!筆者はこの映画でイーサン・ホークのファンになりました。
そしてこの作品、実は三部作の第一作となっており、実際の年月の経過に合わせて続編が制作されています。2004年に作られた二作目の「ビフォア・サンセット」は9年後の世界を、そして三作目「ビフォア・ミッドナイト」はさらにその9年後を描いています。三作すべて観ると、国際恋愛のリアルを感じられるのではないかなと思います。
個人的には4作目を熱望するほど大好きな作品です!

君の名前で僕を呼んで(2017)|アメリカ×イタリア
北イタリアを舞台にした、アメリカ人の大学院生とイタリア人の少年が恋に落ちる話。文化の違いだけでなく、年齢やアイデンティティの違いも含めた、さまざまな境界線が描かれます。
1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオ・パールマン(ティモシー・シャラメ)は、大学教授である父親の助手としてアメリカからやってきた24歳の大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)と出会います。最初はぎこちなかった二人ですが、次第に強く惹かれ合い、ひと夏の恋に落ちることになります。
この映画は同性愛を描いた物語なのですが、初恋の喜びと痛み、自分自身に向き合う姿や成長の過程も描かれており、多くの人たちが共感できる作品ではないかなと思います。“限られた時間”の中で恋に落ちるふたりを描くストーリーは、国際恋愛においては鉄板なのかもしれません。
今では超有名俳優となったティモシー・シャラメの出世作でもある本作。ネタバレを避けるため細かくは書けないのですが、ラストシーンのティモシーの美しさは今でも忘れられません。筆者は映画館でこの作品を観て、途中から過呼吸になるくらい号泣しました…
筆者の映画人生のなかでも、ベスト3に入る映画だと思っています。

はじまりのうた(2013)|アメリカ×イギリス
イギリスからニューヨークへやって来たシンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、恋人デイヴに裏切られ、失意の中でライブハウスで歌っていました。そこに居合わせた落ち目の音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)が彼女の才能に惹かれ、アルバム制作を提案することに。二人はスタジオではなく、ニューヨークの街角や地下鉄のホームなどでゲリラレコーディングを敢行し、音楽を通じて新たな人生の一歩を踏み出していきます。
「国際恋愛」というカテゴリーにはおさまらない、グレタとダンの関係性が見ものです。失意の中にいたグレタが、ダンとの出会いによってもう一度夢を見始める姿は、映画を見ているわたしたちに強く訴えかけてくるものがあります。
この映画の魅力は、何と言っても音楽!主役のキーラ・ナイトレイがギターを演奏しながら綺麗な歌声を披露しただけでなく、恋人のデイヴ役を演じた、有名バンド「マルーン5」のアダム・レヴィーンも劇中で歌唱しています。
映画を観終わった後も劇中歌「Lost Stars」を何度聞いたことか…大好きな曲です!

日本では2015年に公開されましたが、なんと2025年6月には10周年を記念してリバイバル上映が決定しているとのこと!この機会にぜひチェックしてみてくださいね。
ノッティングヒルの恋人(1999)|アメリカ×イギリス
映画「ノッティングヒルの恋人」は、1999年に公開されたイギリスのロマンティック・コメディ映画です。主演は有名俳優のジュリア・ロバーツとヒュー・グラントが務めました。
ロンドンのノッティング・ヒルで旅行書専門店を営むウィリアム(ヒュー・グラント)は、ある日、世界的に有名なハリウッド女優アナ(ジュリア・ロバーツ)と偶然出会います。ひょんなことから始まった二人の関係。ウィリアムの平凡な日常とアナの華やかな世界とのギャップに悩みながらも、次第に深まっていきます。しかし、アナの過去やメディアの注目、そしてウィリアム自身の葛藤が二人の関係に影を落とすことに。真実の愛を見つけようと奮闘する二人の行く末は…?
公開当時から多くの観客に愛され、現在でもロマンティック・コメディの名作として語り継がれている映画です。国際恋愛を描いた映画は、ハッピーエンドではない作品が少なくないのですが、そういう点ではこの映画は安心しておすすめできます!(笑)
筆者は過去に本屋で働いていたことがあるので、「書店で運命の出会いなんて、最高!」と思いながら映画を見ていました。また、過去にロンドンへ旅行した際には、実際のロケ地となっているノッティング・ヒルにある書店を訪れたことがあります。トートバックなどのオリジナルグッズも売っていて、観光にはぴったりの書店でした。
当時もたくさんの観光客で賑わっていましたよ!

名俳優ふたりのコミカルな掛け合いと、ロマンチックな雰囲気を存分に楽しめる映画です!
ローマの休日(1953)|ヨーロッパ某国×アメリカ
“永遠の都”、イタリア・ローマを舞台に、歴訪中の小国の王女とアメリカ人新聞記者が繰り広げる、ロマンティックで切ない恋を描いた傑作映画。公開から半世紀を超え、今なお世界中の映画ファンを魅了し続ける、永遠のラブ・ロマンス作品です。
物語は、ヨーロッパ各国を歴訪中の若き王女アン(オードリー・ヘプバーン)が、窮屈な王室の生活に疲れ、ローマで一人、自由な一日を過ごすことから始まります。彼女は街へ抜け出し、偶然出会ったアメリカ人新聞記者のジョー(グレゴリー・ペック)とともに、ローマの街をめぐりながら“普通の女の子”としての時間を楽しみます。実のところ、ジョーはスクープ目的で彼女に接近したのですが、時間を共にするうちに、彼女に惹かれていくのでした…
当時はまだ無名の映画俳優だったオードリー・ヘプバーンがスター街道を進むきっかけとなった本作。オードリーの可憐な美しさは、世紀が変わった今もまったく色褪せません。この作品で、オードリーはアカデミー賞主演女優賞を受賞。一躍トップ女優に上り詰めました。
既に本作を観たことのある方も多いかもしれませんが、実際にローマで撮影されたこの映画、いくつもの名シーンが出てきます。ローマのスペイン広場でジェラートを食べるアンの無垢な姿や、「真実の口」の前で冗談を言ってアンを驚かせるジョーのユーモアなど、「ローマに行ったら真似したい!」と思った人は多いでしょう。
一国の王女と一平民の国を越えたラブストーリー。なかなか現実には経験できないような内容ですが、自由と責任、身分の違いによる切ない恋が描かれた、上品でほろ苦い一作となっています。
赤と白とロイヤルブルー(2023)|アメリカ×イギリス
物語は、アメリカ初の女性大統領の息子アレックス・クレアモント=ディアスと、イギリスのヘンリー王子という、国際的な注目を集める二人の若者を中心に描かれます。当初彼らはお互いを軽蔑し合う関係でしたが、ある王室行事での口論が新聞で取り上げられ、米英関係に影響を及ぼす事態に発展!事態の収拾を図るため、両国の関係者は二人を強制的に和解させようとさせます。その過程で思いがけない友情が芽生え、やがて深い絆へと発展していき…
本作は配信開始直後から世界的に大きな話題となり、Amazon Primeのオープニング週末視聴数で全世界第1位を記録しました。政治と王室という異なる世界に生きる二人の青年が、国境や立場を超えて惹かれ合う姿を描いたこの作品は、まさに国際恋愛の醍醐味を感じられるのではないでしょうか。
コメディ要素もたっぷり!肩の力を抜いて観られる作品だと思います。

視聴はAmazon Primeのみとなっていますが、契約されている方はぜひ観てみてくださいね!
ブロークンイングリッシュ(2007)|アメリカ×フランス

ニューヨークのホテルで働く30代の独身女性ノラは、恋愛がうまくいかず、母親に将来を心配されながら仕事に追われる日々を過ごしていました。ある日、友人のホームパーティでフランス人のジュリアンと出会い、心惹かれます。ジュリアンはパリ行きを誘いますが、ノラは自分の気持ちに素直になれず、彼は去ってしまうことに。このまま日常に戻るのか、それとも新たな一歩を踏み出すのか、葛藤するノラが下した決断とは…?
過去の失恋に振り回されたり、お酒を飲みすぎて自暴自棄になったりと、30代女性の等身大の恋愛模様がリアルに描かれている点が好感を持てる映画です。ノラのファッションセンスや、ニューヨークとパリの美しい風景にも注目です。
タイトルに「ブロークン・イングリッシュ(文法や発音に誤りがある英語)」とあるとおり、国際恋愛をするうえで避けては通れない「言語の壁」がテーマになっており、人との接し方や考え方など、学びも多いです。
個人的にはジュリアン役のメルビル・プポーが演じた他作品「わたしはロランス」のファンなので、メルビル・プポー好きには必見の一作です!

ユンヒへ(2019)|韓国×日本
韓国・日本間で繰り広げられる、中年女性同士の初恋と再会を描いた繊細なラブ・ストーリー。冬の北海道・小樽の美しい雪景色を舞台に、過去の記憶と抑圧された感情が丁寧に紡がれていきます。
韓国で高校生の娘と暮らすシングルマザーのユンヒ(キム・ヒエ)のもとに、かつての親友ジュン(中村優子)から20年ぶりの手紙が届きます。手紙を盗み見たユンヒの娘は、母の知られざる過去に触れ、ジュンに会いに行こうとユンヒを小樽への旅に誘います。雪深い小樽で、封じ込めていた想いが少しずつ解きほぐされていき…
韓国のイム・デヒョン監督が手がけた本作は、韓国映画ではあまり描かれることのなかった「中年女性同士の同性愛」を、自然体なタッチで描いています。国内の映画祭で数々の賞を受賞し、高い評価を得てきました。
冬の小樽、雪に包まれた白銀の世界を舞台にした美しい映像と繊細な物語は、見終わった後に胸にグッとくるものがありました。いわゆるラブストーリーやコメディ映画とは一味違いますが、国籍や性別の壁を超えて惹かれ合った女性たちの物語に、きっと心を打たれるはず。
ラブコメは見飽きた!という方にぜひおすすめしたい作品です。

【番外編】ロスト・イン・トランスレーション(2003)

生涯で1本だけ好きな映画を選んで!と言われたらとても迷ってしまうのですが、必ず候補に入ってくるのがこの「ロスト・イン・トランスレーション」。筆者の大好きな作品です。
ハリウッドのかつての有名俳優ボブ(ビル・マーレイ)は、サントリーのCM撮影のために東京を訪れることに。一方、写真家の夫に同行して東京に滞在していた若い女性シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)も、異国の地で孤独を感じていました。偶然ホテルで出会った二人は、言葉も文化も異なる東京の喧騒の中で、次第に心を通わせていきます。年齢も人生の背景も違う二人の間に、恋とも愛とも言えない繊細な絆が芽生えていき…
映画史の歴史に名を刻む「ゴッドファーザー」の監督、フランシス・フォード・コッポラの実娘であるソフィア・コッポラが手がけた本作は、実際に東京の地で撮影されました。“外国人から見た日本”はこう見えているのかと、日本の新たな魅力に気づくこともできる作品です。
タイトルの「ロスト・イン・トランスレーション」は、直訳すると「トランスレーション(翻訳)を見失う」という意味になります。異国の文化や生活になじめず、自分自身のアイデンティティや存在意義を見失いそうになる主人公たちの姿を見ていると、今のパートナーと国際恋愛を始めた頃の自分を思い出してしまいました。
主人公はふたりともアメリカ人の設定なので、厳密には国際恋愛を描いた映画とは言えないのですが、異文化に迷い込んだ二人の感情の交差が、まさに“国際的な心の恋愛”を象徴しているなと感じました。
東京の街を鮮やかに切り取る撮影力、音楽やカルチャー面など楽しめる部分が多く、おすすめしたい一作です!

結論|国際恋愛の名作映画を通じて、真実の愛について考えよう!
ここまで、さまざまな国際恋愛の形を描いた名作映画をご紹介してきました。どの作品も、異なる文化を持つ人々が出会い、惹かれ合い、言葉や国籍の壁を超えて理解し合おうとする姿を鮮やかに描き出しています。
映画の世界とはいえ、言葉や習慣の違い、周囲の反対など、現実でも起こり得るハードルが国際恋愛にはつきものです。ですが、真実の愛はそうした困難を乗り越える力を持つことを教えてくれるのではないでしょうか。
今まさに国際恋愛をしている人も、国際恋愛に憧れているという方も、映画を通して違う世界をのぞき見ることで新たな発見があると思います。ぜひこの記事を参考に、いろいろな作品に触れてみてくださいね!