
主役なのに、どうして朝からケーキを焼いているニャ…
あれは出会ってから3回目の、外国人彼氏の誕生日当日のことでした。朝起きると、キッチンにはエプロン姿で小麦粉まみれになっている彼の姿が。
「ご飯は昨日の夜に準備したから、あとはケーキだけだよ!」
そう言って彼は嬉しそうに笑いました。
東欧(ロシア・ウクライナ圏)で生まれた現在の夫と国際恋愛を始めてから、いろいろなカルチャーショックを経験してきました。そんな中でも特に驚いた文化の違いは、誕生日当日の祝い方です。
日本では家族や友人が豪華な食事とケーキを用意してくれたり、素敵なレストランでパートナーと過ごしたりというのが一般的ですよね。誕生日だけは自分で料理を作らなくていいし、大切な誰かが(相手がいない場合は大切な自分が、笑)おもてなししてくれるのが当たり前だと思って生きてきました。
ですが、彼の生きてきた文化圏ではその真逆。「誕生日は自分でパーティの用意をして、大切な人たちをおもてなしする日」という文化があるのです。
今回は外国人夫の例を参考に、ロシア・ウクライナ圏の誕生日の祝い方をご紹介していきます。
ご飯も部屋の飾り付けも、主役が全部準備する

冒頭で述べた通り、パーティの準備はすべて主役の手にかかっています。家族や親戚、仲の良い友人たちが集まるので、料理を手作りする場合は基本的に前日から仕込みが始まります。もちろん食材を買うのも、お金を出すのも、調理するのも全部主役!先述の外国人夫の誕生日には、食材と部屋の飾り付けで約4〜5万円ほどかかったのではないかなと思います。
日本では主役が周囲の人々にお祝いされるのが一般的ですが、ロシアやウクライナの文化圏では「誕生日=周りに感謝する日」なのです。そう考えると、主役がゲストたちをおもてなしするスタイルなのも納得ですよね。
では誕生日会に呼ばれたゲストはどうしたらいいのでしょう?これについては日本とほぼ同じ。まずは主役が喜びそうなプレゼントを用意してください。そしてロシアやウクライナでは、友人の家に行く時に「手ぶらはNG」という文化があるとのこと。多くの人はプレゼントに加えてお酒やケーキ、ちょっとしたお菓子などを持っていくそうです。
気づいたらテーブルの上にはバースデーケーキがたくさん…なんてことも!

これだけはNG!お祝いするときに気をつけること

①花束を送るときには本数に気を付ける
ウクライナやロシアでは、お祝い事でお花を贈るときには「花の本数を奇数にする」文化があります。これは古くからの言い伝えで、お葬式に偶数のお花を用意する風習があることから、「偶数=縁起が悪い」というイメージが定着しているのだそうです。
パートナーや友人にお花をプレゼントするときには、必ず本数をチェックするようにしましょう!

100本のバラを用意しても喜ばれないということニャ…
②誕生日の前祝いは絶対にNG!
ロシア・ウクライナをはじめ一部の国では、誕生日の前祝いはタブーとされています。前もってお祝いをしてしまうと、悪いことを引き寄せてしまうという考え方があるのです。
日本だと、誕生日の数日前に会う友人にプレゼントを渡したりお祝いの言葉をかけたりという場面によく出くわしますが、うっかりこのテンションで相手を祝ってしまうと大変なことに…
ちなみに前祝いはNGですが、後祝いはOKとのこと。どうしても当日中にお祝いが出来ない場合は、誕生日以降にお祝いをしてあげてくださいね。
誕生日当日はどんなご飯を食べるの?
それではここで、ロシア・ウクライナの文化圏で育ってきた夫が誕生日当日に用意した料理を紹介したいと思います!
オリヴィエ・サラダ

日本でいうポテトサラダ。グリーンピースやニンジン、ゆで卵やハムを角切りにして、茹でたジャガイモと混ぜ合わせて作ります。誕生日や新年など、お祝い事の日には必ずと言っていいほど登場するサラダだそうです。外国人夫曰く「これがないと始まらない!」とのこと。夫がいつも引くほどマヨネーズを入れるので、その度に恐怖を感じる一品でもあります。
実はグリーンピースが大嫌い筆者。毎回わたしの分だけグリーンピースを入れないバージョンを作ってもらっています(笑)

シャシリク

聞きなじみのない名前ですが、いわゆるBBQで出てくる大きな塊肉をイメージしてください。牛や豚のブロック肉をたくさんの香辛料やハーブ・野菜と一緒に漬けたあと、串刺しにして網の上でじっくりと調理していきます。
こんがりと焼けたお肉はおいしさがぎゅっと詰め込まれていてとっても美味しいです。

ペリメニ

日本でいう水餃子のようなもの。タネを包んでいる生地がプリプリで美味しい!ペリメニにかけるソースは家庭によって異なるそうですが、うちの場合はサワークリームと酢コショウをかけて食べています。何個でも食べられる。
現地ではペリメニの生地を一気にカットするための器具が売られていました!

ナポレオンケーキ

サクサクのパイ生地とカスタードクリームを何層にも重ねたケーキ。フランスのミルフィーユケーキ。作るのがとても大変だけど、夫が手作りしたナポレオンケーキは驚くほど美味しかったです。
時間が経つと生地がなじんで、また違うおいしさが!

結論|お祝い文化を通じて、相手のことをより深く知ることができる!

ここまでロシア・ウクライナ圏の誕生日の文化を紹介してきました。お祝いの仕方だけではなく、誕生日というものに対する考え方から異なる部分が多く、わたしも最初はびっくりすることが多かったです。
とはいえ、一番大切なのは「相手を喜ばせたい」という気持ち。その気持ちがあれば十分だなと気づいたことで余裕が生まれ、今では「これぞ異文化交流!」という感じでその違いを楽しめるようになりました。
今回紹介した内容はほんの一部ですが、もしロシア・ウクライナ圏のパートナーや友人がいるなら、今回紹介したポイントを参考にしてみてくださいね。素敵な誕生日になりますように!